ITの品質も技術の「見える化」から?
お客様に対しての品質の基本はまず、機能的に要求を十分に満たしていること。動作が正しく安定して行われるシステムであること、そして、納期とコストを守ること・・・どんな仕事であっても、「最初に約束したことを守る」というようなことがなにより大切なことだと感じます。それは、前回のお客様と決めたゴールに約束した機能のシステムを約束した品質で約束した期日にお納めするということです。これが、品質管理の基本であり顧客満足のベースにあるものと思います。決してお客様の言うとおりに闇雲に仕事を進めることが(大多数はその為に納期と品質に問題が発生したりしがちです)、必ずしもお客様の満足に繋がる訳ではないということをよくよく心して、いろいろな調整事に取り組まなければなりません。
それと同時に、最初に約束したことをどのように表現してお客様とプロジェクトのメンバー全員に伝えたら良いのか、それも大きな問題であると感じるのです。たとえ気まずい空気が流れても、本当にプロジェクトを成功させるには、プロジェクト全体のリスクを管理し、QCDのトレードオフを管理する事が必要です。その結果システムが混乱すればそのリスクは?というようなことをお客様に提案し、一緒に考えていかなければならないと感じます。私達のプロジェクトは、お客様のビジネスを支えていく重要なものであるからこそ、我々お客様と私達ヒューマンシステムのプロジェクトチームだけが考える独りよがりなことではなく、先端技術を競う必要もなく(大切だけど、それがmastではないでしょう)、きちんとお客様と一緒にシステムを創り上げていくプロセスを私達は大切にしたいと思っています。この開発のプロセスでの意見交換においても我々の「おもいやり」を十分に発揮してこそ、ヒューマンシステムの開発したシステムは良いシステムになれるのだと思っています。
さて、お客様との距離を正しくして問題を共有する為には「見えるか」が大切です。そのツールとしては、WBS(Work Breakdown Structure)を明確にすることが、プロジェクトマネジメントの第一歩であると考えます。WBSは、提案書や様々な約束が履行可能であるかという計画や様々なスケジュール調整の為の予測にも、大変有効なツールです。通常、スケジュールの作成、予算の作成など重要な計画はすべてWBSをベースにして作成します。QCD(品質、コスト、納期)を守るということは、特に凄い技術者が仕事をすると言うことではなく製造段階においては、愚直な作業の積み重ねが最も重要であると考えます。
品質向上のトレードオフのシーソーの対局には生産性向上というものがあります。それぞれのプロジェクトで、効率化は大切ですが品質を守りながら効率化を図るのはなかなか容易なことではありません。そのスタートは、お客様との約束がどれだけわかりやすくお客様も含めたメンバーに共有されているかということ、それとどんな状況にあっても品質に対して常に決めたことを守るという愚直さ(そういうまじめな取り組み姿勢の熟練した技術者を育てること)なのかもしれません。
例えば、同じような受注生産型の業種である金型業界では、金型の品質を高くすることは、基本はどんな熟練工であっても決められた手順を守り、きちんと確認しながら進めていくことです。それで、1/150000以下の不良率(因みに誤差が1/1000ミリ単位の製品も作っているらしい)を達成して来た会社もあります。
どうしてITはこのような「見えるか」や生産管理がされないのでしょうか?ITは人がその都度考えるものでパターン化できないから・・・そう言ってのける人がいますが、本当にそうでしょうか。それぞれの個人の思いつきでプログラムを作るということがそんなに重要な事なのでしょうか?どうして自動化してはいけないのでしょう。そういう考えに基づいて、プログラムの自動生成や各種フレームワークというものが沢山作られました。が、その話ではなく、大がかりに考え方を変えなくともひとつ問いかけてみたいことがあります。与えられた制約条件(人、物、時間)の中で、最も品質が高く最も生産性の高い手法を選んでいますか?そしてそういう手法というのは、そんなに沢山あるものでしょうか。
私は、この点・・・ある制約条件を鑑みて判断し、ある手法を選んでその手法を正しく実施(決められた手順で実行する)して貰うことが出来るようになればいろいろな問題はかなり解決するような気がします・・・。その一歩は、標準化ということになるのですがこれが難しいということはよくわかります。でも、あきらめられない重要な問題だと思うのです。
私達のIT業界は、まだまだ品質を高めることができるのではないかと、その素晴らしい先達である金型工場の見学の後で感じました。
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